言いたいことはなんとなく分かるんですが、そもそも勝つ、ということが目標ではないのです。Mozillaは。
もちろん、関係者として、勝ちたいっていう漠然とした願望はありますが、それって少なくとも私にとっては一番の目標ではないです。ご存知の通り、IE6の独占状態によりWebの技術的進歩は完全に数年間停滞していました。そして、これを再び動かしたのはFirefoxの急激なシェア拡大でした。Operaがどんなに別のところでシェアを持とうと、実際にシェアが握られているところを突き崩さない限り、こういった改善は起きなかったでしょう。
シェア奪って、金儲けに走って、というのは営利企業としては正しい発想ですが(手段は選べよ、と常々思いますけどね、特に某A社)、それはユーザの求める部分とは異なっています。私はユーザにとってはまともな選択肢がある状況が一番幸せな状況だと思いますが、そういった状況はMozillaも含めてあらゆる企業のブラウザがシェアを握りすぎると実現できません。本音を言うなら、私はMozillaもシェアを握りすぎるべきではないと考えています。(現実的な)選択肢がFirefoxしかない、という状況もまた自由からはほど遠いからです。また、シェアを握りすぎた場合、昔のNetscapeのような暴走が無いとは言い切れないという懸念も残念ながら存在します。
ただし、最低限のシェア、というものはユーザとしての利便性を考えるとどうしても必要です。例えば、今、Firefoxを使っていて問題のあるサイトが減ってきているというのは、決してプロダクトの進化が主な理由ではありません。シェアが伸びたことにより、Webデザイナ様や、そのクライアント様が配慮してくれているだけに他なりません。ですから、企業としてのMozillaがブラウザ業界でのシェアを広げる、というのは非常に大切なことなのです。
根本的なところで発想の違うAppleやOperaとMozillaの経営方針を比較してしまう、というのは無意味ではないでしょうか。
モバイルとFirefox
初回投稿日時: 2008年03月24日05時32分06秒
カテゴリ: Firefox 雑談
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ついでにPiroさんがOperaのモバイルや家電でのシェア獲得について書いているので少しだけ私見を述べておきます。
日本ではモバイルと言えば携帯電話です。スマートフォンやPDAというのはまだまだごく一部のオタクだけのもので、一般的なライトユーザにもメジャーなデバイスではありません。つまり、前者は商売の土台として有望ですが、後者はそうではありません。
で、今の日本の携帯電話の状況を見てみると、Firefoxが急いで携帯電話でのフルブラウザのシェアを握る必要があるかと考えると絶対にノーでしょう(もちろんその準備や研究等々の必要性は否定しませんが)。携帯電話のハードウェア面でのブレイクスルーがない限りはFirefoxにとってはあの市場というのは、実は頭打ちのおいしくない市場なのではないかと思います。
その理由は現状ではハードウェアの制約が大きすぎるからです。画面の解像度は低すぎて(というかPC環境と差がありすぎて)コンテンツをまともに見れなかったり、テンキー等の最低な入力デバイスで入力にはとことん不便を強いられ、貧弱すぎるメモリがアクセス不可能なページが出てくるといった問題を引き起こしてくれます。また、デスクトップでは軽いと言われるOperaでさえ、かなりのレスポンスの悪さに辟易させられてしまいます。こういった制約からOperaもフルブラウザと自称しながら、デスクトップ環境からアクセスできるウェブコンテンツへのアクセスを完全には実現できていないというのが現状です。
このような状況下でFirefoxをそのまま移植しても便利なブラウザとは呼べないと思います。快適なレスポンス等を確保するために様々な機能を削ったとしましょう。そうして出来上がったものはデスクトップのブラウザ市場で一定の支持を集めているFirefoxと同じものでしょうか? 私はそうはならないと思います。
本当に今の携帯電話でフルブラウザって必要なもので、ユーザは欲しいと思っているのでしょうか? また、現在の携帯電話に載っているOpera等を使い倒している人が居るとしたら、どういう用途で使っておられるのでしょうか? それは本当にフルブラウザじゃなければ実現できないサービスなのでしょうか? そのような用途にFirefoxが予算や人員を本格的に割いてでも入っていく必要性があるのでしょうか?
現状の携帯電話の能力でフルブラウザによる快適なWebを実現しようという発想は、ブラウン管しか無い時代に持ち運び可能なテレビ多分需要があるので作ってみよう、と考えるぐらいに理想と現実がごちゃ混ぜになってしまっている感じがしてしまいますが、これは時代遅れな発想なのでしょうか?