この日記はMozillaのプロダクトへの貢献者としての私の成果を中心に、気になったバグやWeb界隈の話題について書いていますが、 断り書きがある場合を除き、いかなる団体のオフィシャルな見解ではありません。あくまでも個人的なものです。 Mozilla Foundation、Mozilla Corporation、及び関連企業の公式情報ではないことに注意してください。

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もずはっく日記(2006年3月)

2006年3月13日

プラグイン表記問題雑感
初回投稿日時: 2006年03月13日21時07分37秒
カテゴリ: Mozilla Core 雑談
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例によって個人的な見解でMozilla Japanの公式見解ではありません。そもそも私は技術屋で、マーケティングとかパートナー連携の担当では無いので、そのへん理解して読んでください。

rgression連発とletter-spacingのリファクタリングのためのディスカッションであんまりこんなことに首をつっこんでる場合でも無いんですけど、あまりに騒ぎが大きくなってるようなのでコメント出しておきます。とりあえずアラビア語圏とヘブライ語圏の人すいませんでした。(ってここで書いても影響のある人は一人いるかいないかでしょうけど。)

結論から言うと私も用語の混同には閉口してます。オリジナルでもpluginとextensionと用語を使い分けていて、MJの和訳スタッフ、そして日本語化(L10N)の人達も「プラグイン」と「拡張機能」とやはり訳語のレベルでも使い分けているので、(企業としてではなく、ボランティアも含めた翻訳団体としての)MJの総意は使い分けるべき、と取るのが普通だと思います(MJの企業としての主張は私も知りません)。

そもそも結果として用語の混同を推奨している某サイトの考え方は理解することができません。公式で使い分けている用語をわざわざ別の用語で置き換えるというのは滅茶苦茶な話で、Firefoxユーザは「プラグイン」という用語から、操作に必要な「Extensions」というメニューを発見することはできませんし、Mozilla Updateにない拡張を検索エンジンで検索しても「プラグイン」では期待通りに検索結果は得られないでしょうし、もじら組フォーラムのような公の場で質問を書き込もうにも間違えた用語で書き込んでも話が混乱したりして、多くの人間にとって不利益が発生する可能性もあります。某サイトの主張するユーザの利益よりも、ユーザとその周囲に与えている不利益の方が圧倒的に大きいので賢明な選択とは言えません。

で、更に滅茶苦茶なのがこのポリシーすら中途半端な点です。ユーザのために用語の統一運動を行うのなら、何故プラグインの時に基準のひとつとしたIEにあわせて「ブックマーク」を「お気に入り」に、「Sidebar」を「エクスプローラバー」にしないのでしょうか? 「ロケーションバー」はきちんと「アドレスバー」に修正されているのに、です。このことから、結局はこの理屈は建前、言い訳であることが分かります。(もしくは単純に知識が足りないだけかもしれませんが。)

とりあえず、どのくらいユーザにとって不便な言い分かを顕著に表すために、似たような例を考えてみました。次のようなものです。

「Windowsのアプリケーション」で可能なデータの保存には、大きく分けて2種類の表記がある。1つは、ゲームでよく使われる“セーブ”。そして、ゲーム以外で使われている“保存”がある。どちらも「Windowsのアプリケーション」の情報を保存するという点では同じで。一般的なソフト利用者が違いを意識する必要はない。また、PlayStationなど他の端末では保存機能全般のことを一般的に“セーブ”と呼んでいることもあり、当サイトでは、その違いを意識せずに「Windowsのアプリケーション」を利用してほしいという観点から、他の端末と同様に「Windowsのアプリケーション」の保存機能を“セーブ”と表記する。

まあ、こんな注意書きがあれば普通は正気を疑われますね。保存というわかりやすい日本語を、わざわざ日常生活で使わないセーブという横文字に置き換えているんですから、分かりにくくなっていることは誰の目にも明かです。でもこれと同義のことを社を挙げてやっているのが某サイトなので困ったものです。(もっともこの例の場合、保存とセーブとに今回のような意味の違いはありませんが、用語の無責任な統一がどのように問題があるのかを考えるには十分な例だと思います。)

ちなみに、Mozilla FoundationでもMozilla Japanでも「プラグイン」と「拡張機能」は明確に使い分けていることがわかります。


Firefox(1.6a1)のHelpよりpluginの用語解説。原文でDeer Parkとなっている部分はFirefoxに置換しています。

Plugins add new capabilities to Firefox, such as the ability to play audio or video clips. Unlike other kinds of helper applications, a Plugin installs itself into the Plugins directory within the main Firefox installation directory and typically can be opened within Firefox itself (internally). For example, an audio Plugin lets you listen to audio files on a web page or in an e-mail message. Macromedia Flash Player and Java are both examples of Plugin applications.

それからExtensionsの解説。

Extensions are small add-ons to Firefox that change existing browser functionality or add new functionality.

Mozilla Japan ナレッジベース - テーマ・拡張機能とはより。

拡張機能は、Firefox の機能を強化するアドオン (小さな追加プログラム) です。タブブラウズ機能を充実させたり、マウスジェスチャーを使えるようにしたり、ツールバーを追加したりするものなど、様々なものがコミュニティのメンバーによって作成され、公開されています。

また、当該文書のキーワードに「プラグイン」という語はありません。

Mozilla JapanのFirefox FAQ、拡張機能とはなんですかより。

拡張機能は Firefox のブラウジング経験を強化するツールです。Firefox に新機能を追加する小さなプログラム (アドオン) だと考えてください。


このように、全般的にこんな感じでオフィシャルな文書で混同は見られません。

私の感覚では、問題のサイトは自分たちの呼びたいように呼んでいる、というのが現状のように思えます。用語を統一することでユーザの便宜を、と建前が書かれていますが、デメリットが大きいのは誰の目にも明かですし、他の用語は統一できていません。 (最もひどいのは、IEでの追加プログラムはプラグインと呼んでいると主張していますが、当のサイト自身がアドオンをプラグインとは表記していないという事実があります。つまり、建前の前提すら自身で否定しています。) 何よりも、用語はアプリケーションのUIにも関わる重要な製品の一部ですが、それを尊重しないというのは人としてどうなのか、と思います。

時々「検索プラグイン」という語を見かけます。これは使い分けがうまくいっていないようです。今回の騒動でのプラグインと拡張機能の定義を見ていると、プラグイン、拡張のどちらの語もこの機能には適切ではないように思います。そのためか、この用語はオフィシャルな文書ではほとんど登場せず、Firefoxの製品内(UIやヘルプ)では発見できませんでした。どうも、ユーザコミュニティで通っている通称のようです。ただ、オフィシャルな文書ではセキュリティ情報でMozilla Foundationがsearch pluginという語を使っており、MJ側でも検索プラグインと訳しています。また、Mozilla Foundationではpluginという語を使ってなくても、MJの和訳文書でのみ検索プラグインと表記されている文書もあります。ただ、インストールされるフォルダ名がsearchpluginsなので昔はこう呼んでいたドキュメントがあったものの、徐々に使わなくなってきているという状況なのかもしれません。

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