セオリー・オブ・スタイルシート
初回投稿日時: 2006年09月01日02時58分06秒
最終更新日時: 2006年09月01日03時00分52秒
カテゴリ: CSS 雑談
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発売時に買っていたのだが、先日、寝付けなかった時にようやく目を通すことができた。といっても神崎氏の部分だけだが。
内容はCSS2.1の仕様の解説といった感じ。ある意味で仕様に詳しい人は読む必要が無いと言えなくもないぐらい正確な内容。でも、補足してある点や、問題点として挙げているものは興味深いものも多々あるので、仕様に詳しい人でも、それを読むためだけに買うのも良いかと。
標準を謳っている本でも大抵ざっと目を通してるだけで突っ込みどころは多々あるのが普通だが、この本にざっと目を通した限りでは間違いは見つけられなかった。CSSを真剣に勉強したい人にとっては仕様書以外の資料としてはたぶん最も良いと思う。ただ、きちんと書かれている分、難しくて取っつきにくいと言えるかもしれない。この辺の両立というのはやはり難しいのか。デザイナが扱うものを理系的発想で仕様化されたものがスタイルシートだと私は思うので、理屈っぽくなるほどデザイナには取っつきにくいんではないかと思ってしまう。(逆にデザイナの書いたと思われる本はとっつきやすい感じではあるが、内容に間違いがあったり、説明すべきことが省かれていたりと、その品質に疑問を感じることが多い。)
一番評価したいのは、仕様がはっきりしていることに関してはあまりブラウザの実装状況について解説していないところ。仕様を理解する上でブラウザの挙動なんてのは無駄な情報でしか無いと私は思う。仕様を理解できたら、次にブラウザの挙動について研究して実際の運用に利用するというのが本来の手順だと私は思うので、そういった点でもこの本は好きだ。だが、overflowの問題とか、z-indexの問題等、アクセシビリティに関わる重大なものについてはブラウザの挙動も交えた解説が行われているので、全く触れていない訳でもない。この手法の使い分けは素晴らしいと思う。
私もMozilla Japanに入る前にスタイルシートの本を書きたいな、と考えていて、最近でも「いつかは……」と思っていたが、この本を見たら、色んな意味でその気は完全に無くなった。まあ、そのぐらいお勧め。
と、思いっきりべた褒めな記事になってしまったが、本当に勉強したい人は、やはり仕様書も読む癖を付けておくべきだ。私の発見できなかった間違いがあるかもしれない(別に間違い探しをするために読んだ訳ではないのだから)し、仕様は常に変化し続けるので新しい仕様を必要に応じて読む必要が出てくることもあるだろう。あくまで仕様書を読むための補足的な解説書という意味でこの本はお薦めできる。
ところで、この内容ぐらいはデザイナを自負している人には是非とも理解しておいてもらいたいものだが、そうでは無い人、多いんだろうなぁ……