Re: 機は熟したの答えます
初回投稿日時: 2008年06月13日17時26分02秒
最終更新日時: 2008年06月13日17時45分53秒
カテゴリ: 雑談
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どのように答えるべきか非常に悩むエントリでした。
さらに私には、ここではあえて Mozilla Japan の中野さんに対して言うのですが……
Mozilla Japanの
と付けられると私はこの場では何も回答できません。
ですが、あくまでコミュニティで活動している個人として、私の意見を以下に書いておきます。(こう書いてもMJの中の人が言ってた
とか書かれる訳ですが、黙っていたら黙っていたで保身に走ってる
とか言う人も居るので、コミュニティの発展を重視して個人として回答を書くことにしました。)
まず、bugzilla-jp関係者の間では開発者の定義として以下のような内容が暗黙のうちにあります(明文化した方が良いというバグをたてるべきですね)。しっかりとしたコンセンサスがある定義ではありません。そこはご注意ください。
bugzilla-org/bugzilla-jpを中心に、実際にバグを修正している人。そしてそれをサポートする、テスタやバグの管理作業者、開発コミュニティの運営者等、いわゆるスタッフサイドと、さらにbugzilla-org/bugzilla-jpに直接バグ報告をする人を開発者とする。
つまり、今のところ、bugzilla-jpのコアスタッフの中では開発者とユーザの線引きは明確です。bugzillaで報告も含めた活動をしているか、否か、というところです。言い換えるなら開発者のコミュニティであるbugzillaで何か行動しようとするならユーザであると同時に開発者でもある、と考えています。
次に、エンドユーザとの接点についてですが、現時点で私はほとんど行っていません。希に余裕がある時にもじら組のフォーラムで質問に対して何らかの回答を付けているぐらいです。今後もこれを拡大するつもりはありません。
無論、コミュニケーションを図るべきであるという考え方には賛成ですが、それは理想論で現実的ではありません。現在の開発者不足を自分自身のマンパワーで埋めてしまうことに使うことを優先しているからです。私は今回のリリースに際して、問題となったバグよりも、より重要と考えていたバグを大量に含む修正作業を行いました。その件数はバグの数で約150件です。私の修正作業に使っていた時間のうち、三分の一を開発コミュニティの運営やユーザとのコミュニケーション等の新しい仕事に割いていた場合、数字だけで考えるなら、50件のバグをFx3に残してリリースしていたことになります。もし、修正できていたバグを残してでもエンドユーザとのコミュニケーションを図るべきであるという考え方が大勢を占めるのであれば私は考え方を変えるかもしれませんが、そうはならないと考えています。
開発コミュニティに対して期待するのは良いのですが、もっと働くべきであるとは考えないでいただきたいです。コミュニティに居る人間は私以外はフルタイムではなく、ボランティアです。ボランティアで各個人がそれぞれのできる範囲でMozilla JapanやMozilla Corporationではなく、GeckoやFirefoxといったプロダクトに貢献してくれているのだと思います。
今回の件で、貢献者のコミュニティ全体がその体制や実態をアピールする必要性を強く感じました。問題点等を自ら列挙してアピールし、新しい貢献者を募っていくというのが当面、必要な作業なのかもしれません。ですが、そこにもできる作業を犠牲にした、新しい作業が発生することに注意してください(現に、私は今、そのためにこれを書いています!)。現状を駄目だと考えるなら自分で行動をおこし、行動をおこせる新しい人を探すしかないのです。
最後に、voteの効果に関する私見を出しておきます。voteは先日も書いたように、ほとんど効力を持ちません。特に決断が行われた後には全くと言っても過言ではありません。それはなぜなのかと言うと、簡単です。開発に関する決断は開発者自身が最終的に行うからです。もちろん、開発者はその問題に関するエキスパートであることが大半です。リスクやタイミング等、技術的な問題と、修正されることによるメリットとを秤にかけて決断することになります。ですが、もし、開発者が今回のケースのように、問題の内容そのものについてのエキスパートではない場合、その問題の重要性が判断できません。こういった場合、判断時にvote数がその判断材料となるかもしれません。ですが、その程度のものである、ということです。決してvote数の上位からバグを修正していくわけではありません。